実践事例
ADHD生徒に対して、iPod-touchを活用した文章問題の取り組み支援―運転免許取得に向けた学習支援をとおして―
概要
まず,iPod-touchの操作の仕方を,次に「運転免許問題集」の使い方をレクチャーした。iPod-touchの操作に慣れるために,その他のアプリに関しても使用することは可能とした。〈指導の経過〉(運転免許問題集のカテゴリー別)○新規テスト 仮免許問題集1から始める。(1〜10で構成されている) 問題をゆっくり自分で読みながら○×を指で押しながら進めることができている。問題文をしっかりと理解してタッチしていないところもあった。「問題集よりおもしろそう。」と関心をもって取り組む姿勢が見られた。 書かれている漢字や理解できない部分は教師に聞きに来ることがあった。 結果は50問中10点から20点の範囲(45点以上が合格基準)であるが,以前なら「もうわからん。やめたい。」「こんなのやっても意味ないわ。」などの発言が多く,机に寝そべって中断してしまうことがあったが,15分から20分の個人課題の取り組み時間内は続けて学習できるようになってきている。○1問1答 10項目に分かれて問題が設定されている。新規テストは,全問解いた後で総合的に評価されるが,1問1答は,1問答えるごとにすぐに評価(正解,不正解が表示)され,不正解がでた場合には解説も出るようになっている。自分の答えに対して瞬時に評価され,フィードバックできることで,新規テストと比較しても,対象生徒にとっては,より集中して取り組むことができるようである。現在はこの1問1答を中心に取り組んでいる。
事例
天体の指導におけるiPad(StarWalk)の活用
概要
中学部3年 理科「地球と宇宙」まず,自分の位置が変わっても方位が変わらないという方位の確認と天球の説明に用いた。天球は天体の動きを説明するのに非常に重要な役割を果たすが,「見かけの動き」を説明する「仮想の球形天井」という非常に抽象的な内容であるので,イメージ力の少ない児童生徒にとっては理解が難しい。しかし,iPadを動かして,空を見てみることで,iPad画面の集合体が天球であることが説明できた。また,自転と公転の関係を考えると混乱しがちな黄道の説明も太陽の位置と,本来見えるはずのない黄道と黄道十二星座が表示されることで,すんなりと理解させることができた。
事例
理科の実験観察、説明等におけるビデオカメラ等の活用
概要
中学部3年 理科「地球と宇宙」観察対象物を上方からの映像を示すことが出来る。下の紙に書かれた十字が地図上の方位で,天球上の方位が立体的であることを画面に表すと理解させやすくなる。また,ビデオを取る角度を写真の状態より少し下げて,線画立体図と比較させると立体図の把握が容易になる。複数の生徒から「わかった!」「なるほど!」という反応が見られた。Webカメラを使って,天球内観測者の位置からの視点を映像化できる。カメラを移動させていくことで,公転による季節の星座の変化を映像化できる(指導時には中心に太陽の役割となる円柱を入れた)。カメラが小型であることで,この他にも月の満ち欠けを確認する地球からの視点など,様々な使い方がある。
事例
情報の授業を始めとし、他教科や学校活動を円滑に進めるための入力機器の選定について‐生徒の主体性を重視しながら‐
概要
対象生徒の学習集団が第1・2学年在籍時に履修することになっている情報A(各年度1単位ずつ)の高等部第1学年次が今回指導をおこなった授業である。高等部第1学年の授業では,はじめにPCの起動方法およびログイン方法,生徒用ファイルサーバのログイン方法といったガイダンスをおこなっているが,それ以外にも障害の程度に応じて,キーボードやマウスの代替機器を含めた選定,クリックロックやシフトロックなどのユーザ補助機能の設定,画面の解析度など見やすくするためのディスプレイの設定をおこなうことにしている。その後は週1回の授業時間であるので,通常の学習内容に取り組んでいく中で,実習を通して入力機器や機能を習熟させることとした。今回,使用する支援機器は9月に購入し,はじめにタップ機能やスクロール機能などを簡単に説明したあとは,特別な時間は設けず通常の学習をおこなう中で実習の場面で使用させた。マウスの速度変更などは自分で適切な速度を設定させた。なお今回の学習集団に対する指導方針として,機器や設定などにかぎらず情報の授業全般において,1回目については教員が操作方法を例示し生徒に操作させ,2回目以降は自分で解決できそうなことについては自分で試行・調査させながら操作させている。今後は生徒が主となって操作方法を考えたり試行したりする必要があるので,一方的な教師側からの伝達とならないようにしている。
事例
数学での図形の作図活動における情報機器の利用
概要
中1数学の平面図形の作図単元において利用した。コンパスを使って作図が難しい生徒に図4のようにPCでCapri Geometry II Plusを使って作図を行った。3人のうち1人はすぐに操作に慣れ,他の生徒が定規とコンパスを利用して作図するのと同じスピードで作図を進めることが出来た。2人は操作ができるが円を描くときの中心を指定するときに,マウスでうまく選択してクリックすることに手間取っていた。そこで,iPodを利用し,タッチすることで操作し作図を行った。1人はスムーズに作図を行うことが出来た。1人は手できちんとタッチスクリーンをタッチして操作することが出来なかったので,最終的にはPCを使い作図を行った。少し時間がかけながらも,作図活動を行うことが出来ていた。
事例