実践事例

学びの場
学校段階
主な対象障害
教科等
特性・ニーズ
選択すると自動的に並び順を変更します。
自閉症のある生徒に対しての携帯電話のタイマー機能を活用した日常生活支援―行動の切り替えを促し、開始・終了の自己判断力伸長を支援するためのタイマー機能の活用事例―
概要
日常生活の中で,活動そのものには自立して行えているが,活動の切り替えに困難を示している場面で,タイマー機能を活用することから始めた。視覚的に時間経過を認識できるようにすることで,開始と時間経過,終了が明確になり,依頼や報告が自主的に行えるようにした。<着替えの場面> これまでは,タイムタイマーを机の上に置いて時間をセットしていたが,大きくて持ち運びにやや不便であり,電池切れもよくしていた。携帯電話のタイマー機能を活用することにより,自分で時間を設定することで何分間とういう時間認識が育ち始めた。また,携帯性に優れており,見た目にもスタイリッシュになった。<掃除の場面> 清掃の際は,掃除機を使って廊下を移動しながら清掃をしている。長い廊下を前半5分間,後半5分間の清掃時間とし,携帯電話のタイマー機能を活用した。まず,5分間清掃をし,タイマーが鳴るとコンセントを移動し,続けて後半の5分間清掃をする。清掃開始の合図をかけなくても,一人で5分間ずつを2回セットし,清掃ができるようになってきた。片付けも自分から取りかかれるようになった。後期になり,清掃場所が廊下から教室へと変わった。教室では,床拭きを1分30秒行う。その場合にも,タイマー機能を使用して床拭きを開始し,終了することができている。<歯みがきの場面> 歯磨きは,手順シートに沿って2回どおり行う。1回にかける時間は2分間。2分間を2回,自分でタイマーをセットし,終了すると仕上げ磨きの依頼を自分から支援者に伝えるようにしている。度々の声かけを支援者がすることなく,「○○先生,仕上げをお願いします。」と依頼されたときにだけ歯磨き支援をするようになったため,生徒も支援者もゆとりができた。
事例
小学部1年生を対象としたVOCAの導入段階における配慮事項の検討―教室から飛び出す行動を改善するためにVOCAの導入段階における配慮事項の検討―
概要
指導の手続きとしては,休憩時間に勝手に教室を出て行こうするときには,VOCAが置かれてある場所に連れて行き,該当するボタンを押すことを促した。行き先が予測される場合は,該当するボタン以外を手で隠すようにし,押し間違えがないようにした。<指導の経過>○4月中旬~5月初旬・VOCAのボタンにはった写真カードで遊びたくて,はがそうとすることが多かった。・音声のフィードバックがあることが分かってくると,音の反応を楽しむためにコミュニケーションとは無関係に繰り返し押すようになった。学習の妨げにもなることがあったので,コミュニケーション場面以外では,スイッチを切ることやVOCAを見えなくするなどの対応をせざるを得なかった。・飛び出しの前兆が行動観察により予測できるようになってくると,行きかけた瞬間を見計らい,VOCAの前に連れてきて,VOCAを押すように促した。4分割のボタンを正しく選択できることは少なかったので,その都度,訂正するようにした。○5月初旬~5月下旬・飛び出しの前に,自らVOCAを押しにくる様子が見られるようになった。まだ意思に合った選択はできず,とりあえずどれかを押してみるという様子であったが,飛び出しは減ってきた。・依然として,VOCAを音の出るおもちゃとして遊ぶ様子は見られる。○6月初旬~7月・行き先を正しく選択でき,自発的にVOCAを押して伝えることが多くなった。VOCAを押すことで要求がかなうことが分かってくると要求回数も多くなり,要求に応えられない場面も出てきた。そのため,泣いて怒ることがあった。スケジュールを使って,いつできるのか,今は何をすべきなのかを伝え,やり取りをとおして行動を調整する力を付けていくことも課題として浮上してきた。・VOCAがない教室でも,クレーン動作での要求が見られるようになってきたので,いつでも意思を伝えることができるように写真カードを携帯するようにした。クレーン動作でどこかに行きたいことを表現しようとしたときに,携帯している写真カードを見せるようにした。携帯している写真カードを外して感触遊びに用いることは多いものの,理解できる写真も増え,コミュニケーションツールとしても活用できるようになっている。
事例
重度知的障害の生徒に対して、コミュニケーションブックを利用してコミュニケーションの相手を広げてきた実践
概要
学校での日常生活場面では,高等部入学時にはすでにコミュニケーションブックを使いこなしていたが,「トイレ」「DVD」など,自分がしたいことを表すカードのみを指さしていた。そこで,要求場面では,相手意識をもたせるために,「○○先生(誰)」「○○を(何を)」「お願いします(どうする)」などと三つのカードを選んで3語文で伝えるようにしている。学校設定教科「暮らし」においては,将来の生活に必要な力を身に付けるために家事全般について学習している。平成21年度の実践においては,困ったときに誰にでも助けを求められるように,ヘルパー役として定期的に大学生や外部の方に授業に入っていただいた。その場面で,困った場面を意図的に設定したり,活動が終わったときに報告したりする場面を設定した。教師は離れた場所で見ていて,必要に応じてプロンプトを示したりした。卒業後の就労に向けた現場実習は,前期に2週間,後期に4週間学校外に出て行われる。3年生は教師が常時指導に付かずに巡回指導になるため,実習先の方とのコミュニケーションがより大切になる。これまでは,VOCAを使って報告したり,コミュニケーションブックとは別のカードを準備したりしていたが,今回は普段使っているコミュニケーションブックに実習先の施設や人の写真を追加して使うことにした。対象生徒は,新しい場面や新しい人に対してはコミュニケーションブックを使わずにジェスチャーで表現することが多い。そこで,最初は教師が入って実習先の支援者の写真指さしながらプロンプトを示し,その後役割を交替して支援者からの声かけで要求,報告をする練習を行った。実習前半は,声かけがないとジェスチャーや直接行動で示していたが,実習後半になり伝える相手が分かると,作業終了の報告やトイレの要求等の際に,自分から支援者に対してコミュニケーションブックを使って伝えることができるようになった。
事例
ADHD生徒に対して、iPod-touchを活用した文章問題の取り組み支援―運転免許取得に向けた学習支援をとおして―
概要
まず,iPod-touchの操作の仕方を,次に「運転免許問題集」の使い方をレクチャーした。iPod-touchの操作に慣れるために,その他のアプリに関しても使用することは可能とした。〈指導の経過〉(運転免許問題集のカテゴリー別)○新規テスト 仮免許問題集1から始める。(1〜10で構成されている) 問題をゆっくり自分で読みながら○×を指で押しながら進めることができている。問題文をしっかりと理解してタッチしていないところもあった。「問題集よりおもしろそう。」と関心をもって取り組む姿勢が見られた。 書かれている漢字や理解できない部分は教師に聞きに来ることがあった。 結果は50問中10点から20点の範囲(45点以上が合格基準)であるが,以前なら「もうわからん。やめたい。」「こんなのやっても意味ないわ。」などの発言が多く,机に寝そべって中断してしまうことがあったが,15分から20分の個人課題の取り組み時間内は続けて学習できるようになってきている。○1問1答 10項目に分かれて問題が設定されている。新規テストは,全問解いた後で総合的に評価されるが,1問1答は,1問答えるごとにすぐに評価(正解,不正解が表示)され,不正解がでた場合には解説も出るようになっている。自分の答えに対して瞬時に評価され,フィードバックできることで,新規テストと比較しても,対象生徒にとっては,より集中して取り組むことができるようである。現在はこの1問1答を中心に取り組んでいる。
事例
天体の指導におけるiPad(StarWalk)の活用
概要
中学部3年 理科「地球と宇宙」まず,自分の位置が変わっても方位が変わらないという方位の確認と天球の説明に用いた。天球は天体の動きを説明するのに非常に重要な役割を果たすが,「見かけの動き」を説明する「仮想の球形天井」という非常に抽象的な内容であるので,イメージ力の少ない児童生徒にとっては理解が難しい。しかし,iPadを動かして,空を見てみることで,iPad画面の集合体が天球であることが説明できた。また,自転と公転の関係を考えると混乱しがちな黄道の説明も太陽の位置と,本来見えるはずのない黄道と黄道十二星座が表示されることで,すんなりと理解させることができた。
事例
理科の実験観察、説明等におけるビデオカメラ等の活用
概要
中学部3年 理科「地球と宇宙」観察対象物を上方からの映像を示すことが出来る。下の紙に書かれた十字が地図上の方位で,天球上の方位が立体的であることを画面に表すと理解させやすくなる。また,ビデオを取る角度を写真の状態より少し下げて,線画立体図と比較させると立体図の把握が容易になる。複数の生徒から「わかった!」「なるほど!」という反応が見られた。Webカメラを使って,天球内観測者の位置からの視点を映像化できる。カメラを移動させていくことで,公転による季節の星座の変化を映像化できる(指導時には中心に太陽の役割となる円柱を入れた)。カメラが小型であることで,この他にも月の満ち欠けを確認する地球からの視点など,様々な使い方がある。
事例
情報の授業を始めとし、他教科や学校活動を円滑に進めるための入力機器の選定について‐生徒の主体性を重視しながら‐
概要
対象生徒の学習集団が第1・2学年在籍時に履修することになっている情報A(各年度1単位ずつ)の高等部第1学年次が今回指導をおこなった授業である。高等部第1学年の授業では,はじめにPCの起動方法およびログイン方法,生徒用ファイルサーバのログイン方法といったガイダンスをおこなっているが,それ以外にも障害の程度に応じて,キーボードやマウスの代替機器を含めた選定,クリックロックやシフトロックなどのユーザ補助機能の設定,画面の解析度など見やすくするためのディスプレイの設定をおこなうことにしている。その後は週1回の授業時間であるので,通常の学習内容に取り組んでいく中で,実習を通して入力機器や機能を習熟させることとした。今回,使用する支援機器は9月に購入し,はじめにタップ機能やスクロール機能などを簡単に説明したあとは,特別な時間は設けず通常の学習をおこなう中で実習の場面で使用させた。マウスの速度変更などは自分で適切な速度を設定させた。なお今回の学習集団に対する指導方針として,機器や設定などにかぎらず情報の授業全般において,1回目については教員が操作方法を例示し生徒に操作させ,2回目以降は自分で解決できそうなことについては自分で試行・調査させながら操作させている。今後は生徒が主となって操作方法を考えたり試行したりする必要があるので,一方的な教師側からの伝達とならないようにしている。
事例
数学での図形の作図活動における情報機器の利用
概要
中1数学の平面図形の作図単元において利用した。コンパスを使って作図が難しい生徒に図4のようにPCでCapri Geometry II Plusを使って作図を行った。3人のうち1人はすぐに操作に慣れ,他の生徒が定規とコンパスを利用して作図するのと同じスピードで作図を進めることが出来た。2人は操作ができるが円を描くときの中心を指定するときに,マウスでうまく選択してクリックすることに手間取っていた。そこで,iPodを利用し,タッチすることで操作し作図を行った。1人はスムーズに作図を行うことが出来た。1人は手できちんとタッチスクリーンをタッチして操作することが出来なかったので,最終的にはPCを使い作図を行った。少し時間がかけながらも,作図活動を行うことが出来ていた。
事例