実践事例

医療的ケアを必要とする進行性筋疾患の児童がWebカメラを自ら操作することで生活環境を観察し楽しんだ事例
概要
①指導目標
a WEBカメラによる映像の画角をスイッチ操作により自力で調整し、自室や隣の教室の様子を観察して楽しむ。
b パソコンモニターに映し出された映像を話題としてコミュニケーションを深めたり楽しんだりする。

②指導期間 5月中旬から7月初旬にかけ週2回の登校時に実施。自立活動の時間に計9時間実施。ただし、活動の途中で興味が途絶えたり体調等により注意の持続が続かなくなったりした場合はその時点で活動を中止した。

③ 指導経過 モニターとなるパソコンは、背臥位で頭部が右を向いている姿勢で、画面がAくんの視野に入るように設置した。Aくんは映像が映し出された直後からパソコン画面を興味深そうに眺めていたが、スイッチ操作で画像が変化することが理解できていないようで、促されるまでスイッチを押すことはなかった。
先の実践である「カメラ撮影の活動」では、指先でのスイッチ操作はデジカメのシャッターを切るためのものであり、カメラの画角は教師がカメラを動かすこと定めていた。画角を自分で操作することは初めての経験であったので、Aくんの注意がモニター上にあることを確認した上で、教師がスイッチ操作を数回にわたりガイドした。その後は、スイッチ操作とパソコンモニターの映像とが連動していることを概ね理解したようであり、モニターを眺めつつ指先のスイッチ操作を繰り返し行うようになった。
また、6月の初旬ころから画面に映っている人物と実際の人物との対応を、パソコン画面から視線を外し確認する様子が頻繁に見られるようになった。また、モニター上に人が映っているところでカメラの動きが停まることが多くなった。特に、活動が活発なクラスメートが映っている位置でカメラの動きが停止する頻度が増えた。しかし、6月下旬になると導入当初のように集中してパソコンのモニターを眺める時間が短くなった。教室内の様子はパソコン画面を通さずとも確認できるため取り組みへのモチベーションが低下したものと考えられた。
そこでWebカメラのUSBコード等を延長して、普段直接確認することのできない、隣のクラスの様子をパソコン画面に映し出すことにした。この時点でより解像度の高いWebカメラを導入することができた。画質の向上も手伝ってその設定によってAくんの興味も回復し、再び集中して画面をながめるようになるとともに、スイッチ操作も頻繁に行われるようになった。また、モニターに映っている隣のクラスの教師がその直後教室を訪れ本生徒に声をかけた場面では、うれしそうな表情でモニターとその教師の顔を見比べる様子も観察された。
学校名

学びの場
特別支援学校
学校段階
中学生
主な対象障害
肢体不自由, 病弱・身体虚弱
教科等
自立活動
特性・ニーズ
動作と姿勢
事例
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使用する支援機器教材名

支援機器教材へのリンク
登録年月日
2015-03-05 21:11:54
閲覧数
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