実践事例
重度知的障害の生徒に対して、コミュニケーションブックを利用してコミュニケーションの相手を広げてきた実践
概要
学校での日常生活場面では,高等部入学時にはすでにコミュニケーションブックを使いこなしていたが,「トイレ」「DVD」など,自分がしたいことを表すカードのみを指さしていた。そこで,要求場面では,相手意識をもたせるために,「○○先生(誰)」「○○を(何を)」「お願いします(どうする)」などと三つのカードを選んで3語文で伝えるようにしている。学校設定教科「暮らし」においては,将来の生活に必要な力を身に付けるために家事全般について学習している。平成21年度の実践においては,困ったときに誰にでも助けを求められるように,ヘルパー役として定期的に大学生や外部の方に授業に入っていただいた。その場面で,困った場面を意図的に設定したり,活動が終わったときに報告したりする場面を設定した。教師は離れた場所で見ていて,必要に応じてプロンプトを示したりした。卒業後の就労に向けた現場実習は,前期に2週間,後期に4週間学校外に出て行われる。3年生は教師が常時指導に付かずに巡回指導になるため,実習先の方とのコミュニケーションがより大切になる。これまでは,VOCAを使って報告したり,コミュニケーションブックとは別のカードを準備したりしていたが,今回は普段使っているコミュニケーションブックに実習先の施設や人の写真を追加して使うことにした。対象生徒は,新しい場面や新しい人に対してはコミュニケーションブックを使わずにジェスチャーで表現することが多い。そこで,最初は教師が入って実習先の支援者の写真指さしながらプロンプトを示し,その後役割を交替して支援者からの声かけで要求,報告をする練習を行った。実習前半は,声かけがないとジェスチャーや直接行動で示していたが,実習後半になり伝える相手が分かると,作業終了の報告やトイレの要求等の際に,自分から支援者に対してコミュニケーションブックを使って伝えることができるようになった。
学校名
学びの場
特別支援学校
学校段階
高校生
主な対象障害
知的障害, 自閉症
教科等
特性・ニーズ
コミュニケーション
事例
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使用する支援機器教材名
支援機器教材へのリンク
登録年月日
2015-03-05 21:09:56
閲覧数
3638