実践事例
小学部1年生を対象としたVOCAの導入段階における配慮事項の検討―教室から飛び出す行動を改善するためにVOCAの導入段階における配慮事項の検討―
概要
指導の手続きとしては,休憩時間に勝手に教室を出て行こうするときには,VOCAが置かれてある場所に連れて行き,該当するボタンを押すことを促した。行き先が予測される場合は,該当するボタン以外を手で隠すようにし,押し間違えがないようにした。<指導の経過>○4月中旬~5月初旬・VOCAのボタンにはった写真カードで遊びたくて,はがそうとすることが多かった。・音声のフィードバックがあることが分かってくると,音の反応を楽しむためにコミュニケーションとは無関係に繰り返し押すようになった。学習の妨げにもなることがあったので,コミュニケーション場面以外では,スイッチを切ることやVOCAを見えなくするなどの対応をせざるを得なかった。・飛び出しの前兆が行動観察により予測できるようになってくると,行きかけた瞬間を見計らい,VOCAの前に連れてきて,VOCAを押すように促した。4分割のボタンを正しく選択できることは少なかったので,その都度,訂正するようにした。○5月初旬~5月下旬・飛び出しの前に,自らVOCAを押しにくる様子が見られるようになった。まだ意思に合った選択はできず,とりあえずどれかを押してみるという様子であったが,飛び出しは減ってきた。・依然として,VOCAを音の出るおもちゃとして遊ぶ様子は見られる。○6月初旬~7月・行き先を正しく選択でき,自発的にVOCAを押して伝えることが多くなった。VOCAを押すことで要求がかなうことが分かってくると要求回数も多くなり,要求に応えられない場面も出てきた。そのため,泣いて怒ることがあった。スケジュールを使って,いつできるのか,今は何をすべきなのかを伝え,やり取りをとおして行動を調整する力を付けていくことも課題として浮上してきた。・VOCAがない教室でも,クレーン動作での要求が見られるようになってきたので,いつでも意思を伝えることができるように写真カードを携帯するようにした。クレーン動作でどこかに行きたいことを表現しようとしたときに,携帯している写真カードを見せるようにした。携帯している写真カードを外して感触遊びに用いることは多いものの,理解できる写真も増え,コミュニケーションツールとしても活用できるようになっている。
学校名
学びの場
特別支援学校
学校段階
小学生, 中学生, 高校生
主な対象障害
知的障害, 自閉症
教科等
特性・ニーズ
コミュニケーション
事例
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使用する支援機器教材名
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登録年月日
2015-03-05 21:10:03
閲覧数
4937